インドネシアの新鉱業法

今日味新深(No.54:2012/8/6)

 東南アジア最大の国インドネシアは、近年経済発展が進み、2011年の実質GDPは前年比6.5%の伸びを記録しました。2億4千万人と世界第4位の人口を誇りますが、同じ人口の多い中国とは人口構成比が異なり、圧倒的に若者の比率が高く労働力は豊かです。

 またインドネシアは資源大国でもあり、石炭をはじめ、石油、天然ガス、アルミ(ボーキサイト)、銅、ニッケル、錫などの鉱物資源、パーム油、コーヒー、紅茶、エビなどの農水産資源も豊富です。それゆえ日本にとっては大変重要な資源輸入国であります。

 一方、インドネシアでは2012年1月に賃金値上げを求めて大規模なデモが行われ、日系企業が多く入っている工業団地の工場からも従業員がデモに参加するなどして、生産に大きな影響が出ました。さらに高速道路の封鎖により物流面でも大きな影響が出ました。

 これらは発展途上国が経済発展の過程で見られる社会現象ですが、インドネシアでも見られるようになってきたと考えられます。
 ところで、インドネシアでは2014年から「新鉱業法」が施行される見込みです。新鉱業法では、鉱物と石炭の輸出に制限が掛かることになります。石炭の場合、今後増加が見込まれる国内需要を優先し、鉱物の場合、採掘した鉱石の状態での輸出ができなくなります。

 銅鉱石の場合、銅カソードで銅分99.9%以上にして、ニッケル鉱石の場合、例えばフェロニッケルならば原鉱石からニッケル成分を10%以上または16%以上にインドネシア内で製錬・加工し、付加価値を高めてはじめて輸出できることになります。
 従って、これまで日本が輸入していた鉱石を原鉱石の状態でインドネシアからは入手することが困難になりそうです。日本は資源としてニッケルで約6割、銅で約2割をインドネシアに依存しており、新鉱業法の施行による影響は相当大きいと考えられます。何らかの対応策が必要となります。
 一方、中国やロシアはこれを機会に、ニッケル事業拡大を試みるべく製錬所プロジェクトに投資するなど、現地に進出する動きが見られます。

 経済力をつけつつあるインドネシアは、2014年から施行予定の新鉱業法に見るように、経済活動において、政府の動向から目が離せない時代を迎えました。当社は、重要な新興国の一つとしてインドネシアに注目し、ここ数年間、政府委託調査を受注し実施してきました。引き続き、インドネシアに注目して情報を蓄積していく予定です。