中国の太陽電池産業の躍進

今日味新深(No.30:2011/06/06)

 再生可能エネルギーのうち太陽電池は、各国の積極的な普及政策に支えられて、年率30%以上の成長を続けていますが、今後、さらに太陽電池のコストが低下して、既存の電力料金と競争できるようになると、急速な勢いで普及すると見られています。このように成長期にさしかかった太陽電池市場で、中国が世界の生産拠点となってきました。

 特にシリコン結晶系太陽電池分野での中国の躍進は目覚しく、世界のシリコン結晶系太陽電池セルの半分以上が中国で生産されており、2010年には中国の太陽電池メーカーSuntechとJA Solarが世界1、2位の生産量を記録しました。

一方、原料となる高純度シリコン(ポリシリコン)でも、国の資金援助を受けたGCL PolyやLDK Solarなど中国の大規模ポリシリコンメーカーが、欧米の製造技術を導入して本格生産を開始しました。

さらにこれらのポリシリコンメーカーは、インゴット、ウェハ、セル、モジュール、システムにも事業範囲を広げています。

シリコン結晶系太陽電池モジュールの平均価格は、リーマンショック以前はUS$4/Wでしたが、ポリシリコン原料価格の低下と中国メーカーの増産により2010年末にはUS$1.5/Wまで低下しました。インバータや設置工事を含むシステム価格もUS$3.5/W以下となり、イタリア、デンマーク、米国・カリフォルニア州等においては既存の住宅用の電力料金と競争できるレベルになりました。

このように、シリコン結晶系太陽電池の分野での中国の躍進は

・製造装置の完成度が高く、資金力があれば誰でも参入できること、
・設備投資、税制面で政府の手厚い補助があること、
・原材料や部品などのサプライチェーンも中国国内で構築されてきたこと、
・欧州のリーディング市場が中国製太陽電池を大量に受け入れたこと

が、主要な要因になっているようです。

今後の太陽電池市場としての中国は、2011年から始まる第12次5ヵ年計画において、大規模なメガソーラー発電所の建設を検討しており、2010年には0.4GWであった太陽電池導入量は、2015年には2GWに拡大する計画です。福島の原発事故の後、この計画が10GWに引き上げられたとの情報があります。
日本においてもエネルギー政策の見直しが始まります。太陽電池業界において、5~6年前まで日本メーカーがトップ4を独占していた時代もありました。再び新技術で捲土重来が期待されます。今後とも、太陽電池の生産拠点と市場の両面で、業界の状況に注目していきます。