中国の法改正情報のご紹介 「危険化学品安全管理条例2011」

今日味新深(No.50:2012/6/5)

 中国の「危険化学品安全管理条例」は1987年に初公布された後、2002年の改正・施行を経て、今回の改正条例は2011年3月2日に公布され、12月1日から正式に施行されました。

改正が行われた主な背景は次の2つが考えられます。

1)中国では危険化学品を扱っている企業の80%は小規模企業であり、近年危険化学品を原因とする労働災害が頻繁に発生するとともに、地域住民の健康に重大な影響を与える事故も後を絶たない状況となり、既存の法規制では対応しきれなくなったこと。

2)2001年にWTO加盟した中国は、国際経済体制への参画によって高度経済成長を成し遂げた一方、中国製商品の安全性の問題など、中国の化学物質管理に関する社会的懸念も増え、世界各国から国際並みの化学物質管理強化の要求が多く求められて来たこと。

今回の法改正ポイントの重要な2点をご紹介します。

1)「危険化学品目録」作成の義務化
 これまで、中国では法的な「危険化学品目録」が存在せず、危険化学品は「危険貨物品名表」(GB12268-1990)と「劇毒化学品目録」に収載されてきました。今回の法改正によって、上記2つのリストを一つに纏めた「危険化学品目録」に収載され、国連のGHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)と統合されました。
危険化学品目録は国務院傘下の国家安全監督管理総局がその他の政府関連部局と共同で公布し、随時更新することが義務づけられました。同目録に収載される危険化学品の種類は、これまでの3,800種類から7,000種類まで追加される予定で、その多くは人体、環境に有害な農薬や医薬、SVHC(高懸念物質)などです。

2)危険化学品安全使用強化の制度化
 改正前の条例では危険化学品の生産、経営、貯蔵、輸送等の安全管理に関して比較的具体的な規定があるものの、危険化学品の使用に関しては、あまり具体的な記述はありませんでした。改正後の条例では「危険化学品の使用安全」を第3章として付け加え、危険化学品を使用する企業に対して、企業独自の安全管理規則や安全操業規定の作成が義務づけられました。
また製造・貯蔵に関わる一部の規定も使用する側に適用されることになっています。さらに使用量は国が定めた量を超える企業は危険化学品安全使用許可証を取得しなければならないこととなっています。

 今回の法改正により、危険化学品を使用、取り扱う企業は、自社の事業でどこまで規制をかけられているかを改めて十分に認識し、必要な対策を迅速に打つことが求められています。従来、危険化学品安全使用許可証を取得する必要がないと判断された企業でも、新たに危険化学品の管理において適切な体制を取る必要があると考えられます。
 本例に見られるように、中国の法規は社会経済の変化や国際情勢の変化に合わせ、常に改正され、その適用も厳しくなってきています。当社は中国関連法整備の情報を独自のルートによって、迅速かつ正確に入手することができます。また適用の状況に関する情報も把握致します。中国の法規制情報に関するご要望がありましたらお問い合わせください。