先端シミュレーション技術の進展

今日味新深(№6:2010/3/1)

図らずも昨年の事業仕分けでスーパーコンピュータ開発が世間の注目を集めましたが、近年コンピュータ能力の大幅な向上によりシミュレーション技術への関心の高まりが感じられます。

シミュレーションは,「理論」,「実験」と並ぶ,科学技術の第3の方法として,最先端の研究開発に欠かせないものです。大量のデータを高速で処理するスーパーコンピュータの出現は,例えば気象や宇宙などの超マクロのシステムを数学モデルで記述してコンピュータによって解き,システムの将来の挙動の予測(たとえば地球温暖化予測)を可能としました。

日本では,平成14年にスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」が稼働し,地球温暖化や地殻変動など文字通り地球規模でのシミュレーションに利用され,成果をあげています。
また超ミクロのシステムとして,新しい物質・材料開発手法としての計算機マテリアルデザイン分野やゲノム創薬分野などでの活用も進んできています。加えて機械産業分野でも,平成16年から「車まるごとリアルタイム高精度シミュレーションの検討」が行われ,自動車全体を1,000万要素に分割して衝突解析を行い,実際の衝突実験に近い結果が得られています。
今後,スーパーコンピュータの性能がさらに向上し,かつ安価な利用が可能となるに伴い,非常に幅広い分野での利用が期待されています。実験や理論で解決が困難なことが,シミュレーションによって初めて解明されることも出てくるでしょう。

平成24年稼動を目指して地球シミュレータの数百倍(10PFLOPS)の処理能力を目標に神戸ポートアイランドにて整備中です。これが完成すれば,世界最先端のシミュレーション技術の利用環境が整うことになります。宇宙や地球を対象とする研究は勿論のこと,社会現象の理解やビジネス分野での活用が期待されます。
製造業分野においては,極端な言い方をすれば,実物を準備することなく検討が可能となり,製品の機能設計や研究開発に留まらず,製品のライフサイクルに亘る安全性や信頼性,さらに環境負荷予測に至るまで評価が可能となることが期待されます。

このように先端シミュレーション技術への期待は様々な分野で大変大きく,当社としてもニーズ,波及効果,今後の取り組みの方向性の調査等を通じてお客様の研究開発やモノづくり,更には広く社会に貢献していきたいと思っています。