太陽熱発電の最新動向(SolarPACESに参加して)

今日味新深(No.46:2012/3/20)

 近年、太陽熱によって造った蒸気でタービンを回して発電する「太陽熱発電」が、欧米や日本で注目されてきています。特にドイツは日射量が豊富な中東~地中海沿岸の北アフリカの砂漠に太陽熱発電所を建設し、それらと風力発電所などを送電網で結んで欧州まで直流送電するEU-中東-北アフリカ スーパーグリッド構想(DESERTEC)を提唱しています。

 日本もNEDOを中心に、アラブ首長国連邦(UAE)やチュニジアなどの海外において、先進的な設計と技術をもとに太陽熱発電システムの建設を始めています。

 太陽熱発電は集光型発電(Concentrating Solar Power;以下CSPと略す)として知られています。これらの技術開発およびマーケティングに焦点を当て、世界各国の専門家チームを集めた国際的な協力ネットワークのひとつに、SolarPACESがあります。

SolarPACES(Concentrating Solar Power And Chemical Energy System)

 その活動成果は、毎年開催される国際会議SolarPACESで発表されます。直近では、2011年9月20日から24日までスペインのグラナダで7th. SolarPACES 2011が開催され、弊社も同会議に参加して参りました。

 日本において、再生可能エネルギーは、より重要なエネルギーとなってきています。太陽熱発電は、今後どれほど貢献できるかという点から今回の会議を紹介します。

 参加者は44ヶ国から約1,060名(前年比で25%増、日本から60名)。3日間の会議では、CSPの新しい概念、コスト削減、制御とシミュレーションおよびグローバルマーケット動向などに関して、基調講演41件、講演214件、ポスター120件が発表されました。

 基調講演「グローバルCSPマーケット」では、2050年、年間太陽熱発電量は、約4,750TWh(世界の発電電力量の11%に相当)に達し、日射量に恵まれた北アメリカ、アフリカ大陸、インドにおける発電量が大きく増加するとの予測が示されました。また、2030年から2050年では、太陽熱発電の全電力消費量に占める割合は、約3倍以上となるとのことでした。

 CSPにおける最大の課題は「コスト削減」であり、欧州では、2030年までに既存電源並み(5~7円/kWh程度)のコスト達成を目標としています。それに向けて、受熱系の高温化や天然ガス発電システムとの複合化による高効率化の技術開発が精力的に行われています。

 日本も海外に建設中の先進的な太陽熱発電システムの優位性などを速やかに実証することが重要で、これにより本格的な商業化プラント建設に向けての動きが加速され、クリーンな再生可能エネルギープラントビジネスとして、期待できる分野の一つとなります。

 こうしたことから今後ますます注目すべき分野といえそうです。