太陽電池用原料としてのシリコンの需給動向

今日味新深(No.21:2010/11/15)

 当社では再生可能エネルギーに関する調査の一環として、太陽電池に関連する材料の調査を実施してきました。今回は、太陽電池全体の約8割を占める結晶系太陽電池の原料である高純度シリコンの需給動向について紹介します。

 シリコンは珪石として地殻に存在し、地表付近に存在する元素の割合を示すクラーク数が酸素に次いで大きい身近な元素です。シリコンを工業的に利用するには、アーク炉を用いて純度の高い珪石を石炭や木炭等で還元して金属シリコンを製造します。

アーク炉による還元プロセスには大量の電力を必要とするため、金属シリコンは水力による安価な電力を利用できる中国やノルウェー、ブラジル、オーストラリア等で生産されています。しかし、ブラジルやオーストラリアでは還元剤として利用してきた木炭が森林保護の観点から使用が制限されるなど、金属シリコンの生産環境も変化してきています。ちなみに我が国は100%輸入に頼っています。

2006年の世界の金属シリコン生産量は年間約150万トンで、その用途の内訳はアルミ・シリコン合金向けに約60%、シリコン樹脂向けに約30%、残りの約10%(約15万トン)が半導体および太陽電池向けでした。

半導体向けには純度99.999999999%(11N)、太陽電池向けには純度99.999%(5N)の高純度シリコンが必要です。これらは金属シリコンを原料としてシーメンス法と呼ばれる化学的プロセスで精製されています。しかしシーメンス法は製造設備が大規模で、製造コストも高いプロセスであるため生産拡大のための設備導入が遅れていました。

一方、2004年頃からの太陽電池市場の急速拡大に伴いシリコン需要が急速に伸びたことから、太陽電池用シリコン原料が極度の品薄になり、2007~2008年には価格が一時高騰しました。しかし、2009年以降は、米国、中国、韓国等で多数の新設設備が稼動し始めたため、価格は従来水準に落ち着きました。

太陽電池用シリコンの需要は、今後も年率30%以上で増大していくと予想されるため、より一層安価な高純度シリコン製造方法の確立が待たれています。

最近では、シーメンス法よりも大幅に低コストで製造が可能と期待される冶金的手法による太陽電池用シリコン(UMG-Si:Upgraded Metallurgical Grade Silicon)の製造方法が、金属シリコンメーカーや鉄鋼メーカー等で検討されていますが、まだ本格的に量産化されるには至っていないのが現状です。

当社としては、継続的に太陽電池に関連する材料の調査に取り組んで参ります。