電力の安定供給

今日味新深(No.31:2011/06/21)

 我が国は2011年3月11日に東日本大震災に見舞われました。この大震災では原子力発電所の事故による放射能汚染も深刻化しており、日本国民のみならず全世界が事態の推移を注視しています。さらに原子力発電の停止による電力不足も懸念されています。

 日本ではこの大震災の前まで54基の原子炉が稼働し、電力供給量の約30%を生み出してきました。1978 年の第二次石油危機を契機に石油依存度を低下させる政策転換が進められ、石油火力発電は全発電量の10%に低下しています。

代わって原子力が31%、LNG火力が27%に達し、燃料資源確保のリスク低減、燃料に起因する環境負荷物質の発生低減などに寄与しています。

特に原子力発電は、高い耐震性の下で建設され、高い経済性を有していること、加えてCO2排出量が少ないためクリーンであることから、CO2排出量削減対策の切り札としても位置付けられてきました。

しかし、今回に原発事故により、放射能リスクなど安全性に対する厳しい制約が発生し、今後はその利用比率が低下していくと予想されます。

表1:発電方式別の発電量比率、発電単価、CO2排出量比較

(エネルギー白書等より)

発電方式

石炭

火力

石油

火力

LNG

火力

水力

原子力

太陽光

風力

発電量比率(%)

22.2

10.2

26.6

9.0

31.2

0.8

発電単価(\/kWh)

5.7

10.7

6.2

11.9

5.3

46.0

12.0

CO2排出量(g/kWh)

975

742

608

11

22

53

29

 

近年、スマートグリッドが注目されています。スマートグリッドは米国の脆弱な送配電網を改善するために始められた技術であり、電力供給が安定している日本ではその取り組みが遅れていました。

電力供給システムに対して、今後再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電を大量導入したいところですが、発電量の時間変動が大きいために、マストラン電源(原子力発電、水力発電)の比率が高い我が国では、調整電源(火力発電、揚水発電)で電力のバランスを調整するのが難しい状況にありました。

しかしながら、マストラン電源である原子力発電の比率が低下すると、状況は変わってきます。今後はこの点を考慮したスマートグリッドが検討されると予想されますが、その効果を発揮させるためには「太陽光、風力発電の系統安定化制御」や「大容量・高性能の蓄電システム」などに関する技術開発が必要になります。

弊社はこのような電力エネルギー分野の技術調査を得意としています。これまでに、「系統電力安定化技術」、「直流電力供給技術」、「各国におけるスマートグリッドの取り組み状況」、「太陽光発電、風力発電、地熱発電などの技術動向」、「リチウムイオン二次電池の技術動向」など多くの調査を進めてきました。

前記技術に対する世の中の関心やニーズは今後ますます高まると予想されており、この分野の技術調査を継続的に取り組んで参ります。