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2010年の国際特許出願状況

今日味新深(No.28:2011/04/08)

 世界知的所有権機関(WIPO)は2月9日、特許協力条約(PCT)に基づく2010年の国際特許出願状況を発表しました。
外国への出願方法は、最初から各国特許庁に直接出願手続きを行う方法(パリ条約に基づく出願と呼ばれる)の他に、初めにPCT1)に基づく国際特許出願として、例えば、日本では自国特許庁に出願しておき、その国際特許出願に基づいて各国への手続きを行う方法があります。
今回WIPOにより発表されたデータは後者に関するものであり、外国出願の総数を表したものではありませんが、外国特許取得意欲を示す重要な指標の一つと考えられます。

注目点は以下の通りです。

・2008年までは国際特許出願総数が年々増加していたが、2009年は世界的不況の影響のため前年より減少した。(前年比‐4.8%)
しかし、2010年は再び増加に転じた。(前年比+4.8%)
・2010年の国際特許出願総数の前年比増加には、中国、韓国で大幅に増加したことが効いている。特に、中国は前年比56.2%増で、出願数は5位から4位にランクアップした。
・主な欧米主要国の殆どが出願数を減少させているが、日本とドイツは増加に転じた。
・企業別国際特許出願件数では、日本のパナソニックが首位を維持した。中国の企業が2位と4位に食い込んでいるのが注目される。
・技術分野別国際特許出願件数では、デジタル通信分野が大幅に伸びた。(前年比+17.3%)
表1 国別国際出願数TOP10
順位 2010年国際出願件数 前年比伸び率
アメリカ

44855

-1.7%

日本

32156

+7.9%

ドイツ

17171

+2.2%

中国

12337

+56.2%

韓国

9686

+20.5%

フランス

7193

-0.6%

イギリス

4857

-3.7%

オランダ

4097

-8.2%

スイス

3611

-1.6%

10 スウェーデン

3152

-11.6%

 

表2 企業別国際出願数TOP10
順位 企業(国) 2010年国際出願件数 前年順位
パナソニック(日本)

2154

ZTE(中国)

1863

22

クアルコム(アメリカ)

1677

華為技術(中国)

1528

フィリップス(オランダ)

1435

ボッシュ(ドイツ)

1301

LG電子(韓国)

1298

シャープ(日本)

1286

10

エリクソン(スウェーデン)

1149

10 NEC(日本)

1106

【出典】
WIPO:International Patent Filings Recover in 2010 (PR/2011/678)


1)PCTに基づく国際特許出願:PCT(Patent Cooperation Treaty)とは特許協力条約のことで、ひとつの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度のこと

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