CCS(Carbon dioxide Capture & Storage)の動向

今日味新深(No.59:2012/11/6)

 CCSとは、火力発電所や製鉄所、ガス田・油田等の大規模プラントで排出・発生するCO2を分離・回収して、パイプラインやトラック、船舶で圧入設備まで輸送し、地中の帯水層等に貯留する技術です。CO2ガス削減のキーテクノロジーの一つとして、また将来のエネルギー状況にも大きく影響する技術です。

 2011年11月にダーバンで開催されたCOP17では、CCSがCDM(Clean Development Mechanism)化されることが決まりました。国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までに大気中へのCO2放出量を半減するとした場合には、世界で3,400件のCCSプロジェクトの実施が必要と試算し、2015年に20件のCCS実証プロジェクトの立ち上げを提唱しています。GCCSI(国際的CCSプロジェクト推進組織)が発表しているデータによれば、2010年4月時点では、世界全体で328 の大容量CCS計画が登録されています。そのうち商業ベースで稼働しているのは、カナダのワイバーンやノルウェーのスライプナー他の6件です。

 現在、大規模な研究開発および導入・展開活動が進行中の国としては、米国、カナダ、中国、韓国、日本、ペルシャ湾岸諸国、EU (英国、スペイン、オランダ)、ノルウェー などがあります。ここではEU、米国、豪州、中国、日本の状況を紹介します。

 EUの科学技術開発計画(フレームワーク・プログラム)において、CCSに対するプロジェクト支援、開発資金供与が倍増されました。また実証実験を対象としたヨーロッパエネルギー復興プログラムでは、大規模CCS 実証を目指すプロジェクトに資金が供与されています。CCS・再生エネルギーの実証研究(NER300)でもCCSプロジェクトへの資金提供が審査されています。またEUは法整備・制度面で世界をリードしており、300MW以上の火力発電所新設許可取得者に対してはキャプチャーレディ(将来のCCS回収・貯留余地の確保)が義務付けられています。

 米国には、連邦レベルと州(コロラド州、イリノイ州等)レベルでそれぞれ個別のCCS 関連の法律があります。連邦レベルでは、「米国クリーンエネルギー・リーダーシップ法案」 のようなCCS 実証プログラムの技術・財政支援をともなう枠組みを準備しようとする超党派的な取り組みがあります。またエネルギー省からの資金をもとに、国立エネルギー技術研究所では、CCS 技術の向上を目指す炭素隔離プログラムを継続して実施し、政府機関、産業界、大学、国際機関と協力してプロジェクトに取り組んでいます。FutureGenはその一つで、商業的規模のIGCC(石炭ガス化複合発電)においてCCS技術の実証を目的としています。

 豪州はCCS の早期実用化を目指して、大規模CCS 実証を世界20か所で実現することを推進する国際的な機関GCCSI の設立を主導しました。現在、実施あるいは計画されている大規模プロジェクトはCCSフラッグシップ・プログラム、実証プロジェクトとしては、オトウェイパイロット貯留プロジェクト等があります。

 中国は2004年にニアゼロエミッション発電を目指し、中国神華集団(CHNG)が中心となり、電力および石炭業界の大手7 社により形成されたGreenGenプロジェクトをスタートさせています。石炭ガス化、水素製造およびCO2 隔離システムの実証を行い、石炭火力発電の効率を飛躍的に向上させることを目的としています。2011年にCCSに強力な財政投資を行うことを表明し、2012年3月にGCCSIと覚書を締結しました。

 日本は2008年から候補地点の地質調査をしてきた結果、2012年2月に北海道の苫小牧沖の海底を対象としたで実証試験が開始されることが経済産業省から公表され、2020年のCCS実用化に向けてスタートしました。